あいさつ
どうも、おはようございます。こんにちは。こんばんは。
AK-TONBOです。
前回は筋肉と老化(サルコペニア予防)ということで、30代から始まる筋肉低下にどう栄養で備えるかを解説しました。
体の老化の兆しが実際に見え始めるのはこの30代辺り。
兆しを見逃さずに上手に体調を管理し、アクティブに過ごせる時間を自分の力で伸ばしていきましょう!
して。
今回のテーマのテーマですが、こちら。
卵は1日何個まで食べていいのか ~「1日1個まで」は本当に正しかったのか~
長年にわたって語り継がれてきた「卵は1日1個まで」という謎の常識に踏み込んだものですね。
お年寄りの方なんかは特に信じている人が多いのではないでしょうか?
ですが最近になって「何個食べても大丈夫」「制限する必要はない」という情報も出てきているため、結局どっちが正しいの?という人も多いと思います。
「毎日食べていいなら安くて助かる」「でも体に悪いんじゃないかと不安」「スポーツしてるからもっと食べたい」
そんな疑問に答えるために、今回はこの卵論争に、栄養学の知見を踏まえて説明していきたいと思います。
ちなみに僕は目玉焼き、ゆで卵共に半熟派です。
「1日1個まで」はなぜ広まったのか
まず、この常識がどこから来たのかを整理しましょう。
卵にはコレステロールが豊富に含まれています。
卵1個(Mサイズ)あたり約210〜220mgのコレステロールが含まれており、これは食品の中でも高い部類に入ります。
1960〜70年代の研究で「血中コレステロールが高いと心臓病のリスクが上がる」ということが明らかになり、そこから「コレステロールを含む食品を食べると血中コレステロールが上がる→体に悪い」という図式が生まれました。
この流れの中で「コレステロールが多い卵は1日1個まで」という考え方が広まっていったわけですね。
しかも、アメリカでは食事ガイドラインで長年「コレステロールの摂取を1日300mg以下に」という数値目標が設けられていたりもしました。
卵1個で210〜220mg。
この数値が「1日1個まで」という常識を生んだ大きな理由のひとつです。
科学はどう変わったのか
ここが今回の核心です。
2015年、アメリカの食事ガイドライン改訂委員会は大きな方針転換をしました。**「食事からのコレステロール摂取量の上限を設けない」**という結論を出したのです。
これは何十年も続いてきた「コレステロール制限」の考え方を根本から覆すものでした。
しかし、なぜこうなった…
食事コレステロールと血中コレステロールは別物
最大のポイントはここです。
「食事で摂ったコレステロールがそのまま血中コレステロールになる」という考え方が、研究の積み重ねによって否定されたからです。
体内のコレステロールは約70〜80%が肝臓で合成されており、食事から摂る量は全体の20〜30%に過ぎません。
さらに重要なのが「フィードバック機構」の存在です。
食事からのコレステロール摂取量が増えると、肝臓は自分で作るコレステロールの量を自動的に減らします。
逆に食事から減らすと、肝臓が多く作ります。
つまり、卵を多く食べたからといって血中コレステロールがそのまま上がるわけではなく、体が自動調節しているのです。
大規模研究が「無関係」を示した
その後、多くの大規模疫学研究が行われました。
代表的なものを紹介します。
ハーバード大学の研究(12万人以上を追跡)では、1日1個の卵の消費は健康な人の心臓病リスクと関連がなかったという結論が出ています。
日本でも国立がん研究センターの研究で、1日1〜2個の卵摂取は心臓病・脳卒中リスクと無関係という結果が示されています。
これらの研究の積み重ねが「コレステロール制限」の見直しにつながったというわけですね。
では「何個でも食べていい」は本当か
ここで「何個食べてもOK!」と結論付けたいところですが、もう少し丁寧に見ていきましょう。
健康な人は2〜3個でも問題ないというデータがある
最近の研究では、健康な人が1日2〜3個食べても心臓病リスクへの有意な影響はないという報告が増えています。
また「適度な卵消費は血中のHDLコレステロール(善玉)を上げる」という報告もあります。
「1日1個まで」という厳格な制限は現在の栄養学では支持されていません。
スポーツマンがタンパク質補給のために1日2〜3個食べることは、現在の研究では問題ないとされています。
ただし「何個でも無制限」は言い過ぎ
一方で「何個食べてもいい」という情報の広まりには注意が必要です。
1日10個食べても大丈夫かというと、そこまでの安全性を示す研究データはありません。
また卵はコレステロール以外にカロリーもあります(1個約80〜90kcal)。
1日5〜6個食べればカロリーだけで500kcal近くになります。
スポーツをしていてカロリー消費が多い人なら問題になりにくいですが、活動量と摂取量のバランスは常に意識が必要です。
現時点での現実的な結論は「健康な人なら1日2〜3個は全く問題ない。それ以上は個人の状況による」というところです。
注意が必要な人もいる
ただし、一部の人は卵の摂取量に注意が必要です。
糖尿病の人:複数の研究で、糖尿病患者における卵の過剰摂取と心臓病リスクの関連が示唆されています。糖尿病の方は医師に相談することをおすすめします。
家族性高コレステロール血症の人:遺伝的にコレステロール代謝に異常がある場合は、食事コレステロールの影響を受けやすいとされています。
LDLが高い人:卵の摂取でLDL(悪玉コレステロール)が上昇しやすい「過剰反応者(ハイパーレスポンダー)」が一定数存在します。気になる人は定期的に血液検査を受けて確認しましょう。
卵の栄養素:なぜスポーツマンに優秀なのか
コレステロール論争に集中しすぎて、卵の素晴らしい栄養価を忘れていました。
改めて整理します。
卵1個(Mサイズ約60g)あたりの主な栄養素:
- タンパク質:約7.4g(アミノ酸スコア100。必須アミノ酸が完全に揃う)
- 脂質:約5.2g(良質な不飽和脂肪酸を含む)
- ビタミンA:免疫・皮膚・視力に関与
- ビタミンD:筋肉・骨の維持に必須(前回のサルコペニア記事でも触れました)
- ビタミンB12:神経・血液に必要
- 鉄・亜鉛:貧血予防・免疫・タンパク質合成
- ルテイン・ゼアキサンチン:目の健康を守る抗酸化物質
アミノ酸スコアが100というのは最高値です。
卵のタンパク質は必須アミノ酸のバランスが完璧で、筋肉合成に非常に効率よく使われます。
前回のサルコペニア記事で「ロイシンが重要」という話をしましたが、卵はロイシンも豊富です。
価格も1個20〜30円程度。
……いや、最近は物価が上がってそんなこともないか。
ただまあ、これだけの栄養素をこの値段で摂れる食品は他にほとんどありません。
卵は間違いなくコスパ最強食材のひとつです。
スポーツマンにとっての最適な摂取量と食べ方
推奨摂取量の目安
現在の栄養学の知見を踏まえると、スポーツをしている健康な人なら1日2〜3個を目安に食べることは問題ありません。
体重70kgで1日140gのタンパク質が必要な場合、卵3個で約22gを補えます。
残りはほかの食材で補う形です。
「毎日食べていいの?」という疑問もあると思います。
毎日2〜3個を継続することも研究上は問題ないとされています。
作り置きのゆで卵を毎日食べる習慣は、タンパク質補給の観点からも栄養バランスの観点からも理にかなっています。
僕も作り置きのゆで卵を毎朝一個食べてます。
調理法で気をつけること
卵の栄養素は調理法によって変わります。
生卵:ビオチン(ビタミンB7)の吸収が阻害される可能性があります(卵白に含まれるアビジンがビオチンと結合するため)。毎日大量に食べる場合は注意。
加熱した卵:アビジンが変性してビオチン阻害がなくなります。消化吸収率も生卵より高いという研究があります。ゆで卵・スクランブルエッグ・目玉焼きがおすすめ。
揚げる・バターで炒める:余分な脂質・カロリーが増えます。シンプルにゆでるか蒸すのがベストです。
まとめ
- 「卵は1日1個まで」は1960〜70年代のコレステロール研究から生まれた古い常識
- 食事コレステロールと血中コレステロールは別物。肝臓のフィードバック機構が自動調節する
- 2015年にアメリカの食事ガイドラインがコレステロール摂取の上限を撤廃
- 健康な人が1日2〜3個食べても心臓病リスクへの有意な影響はないというデータが多い
- 「何個でも無制限」は言い過ぎ。カロリーバランスと個人の状況は考慮が必要
- 糖尿病・家族性高コレステロール血症・LDLが高い人は医師に相談を
- 卵はアミノ酸スコア100・ビタミンD・鉄・亜鉛・ルテインが揃う完全栄養食
- スポーツマンは1日2〜3個を目安に。調理はゆで卵・スクランブルエッグが効率よく摂れる
おわりに
「1日1個まで」という常識が何十年も信じられてきた背景には、当時の科学の限界がありました。
研究が積み重なることで「実は違った」という結論が出てくる。
栄養学に限りませんが、学問系はそんなもんです。
卵は安くて、栄養が豊富で、手軽に食べられる。スポーツマンの強い味方です。
過度に恐れず、かといって際限なく食べるわけでもなく、1日2〜3個を習慣にしてみてください。
以上、AK-TONBOでした。